KOHEI YAMADA
山田康平
1997年大阪府生まれ。2020年、武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻を卒業し、2022年、京都芸術大学修士課程美術工芸領域油画専攻を修了。 山田の絵画には明らかなレイヤーが存在する。多くの画家は線と色面の積み重ねによって最終的に表層に現れたものを絵画と呼ぶが、山田はその積み重ねの裏に覆い隠されたものを含有した深さのようなものをこそ絵画と呼ぶのだろう。画面に象徴的に現れる鮮烈な黄色い色彩は画面の中で最も早くに着彩される色の一つだが、鑑賞者が目にするそれはわずかばかりに残された片鱗でしかない。完成された画面の大部分を占めるのは原色に近い赤や青などの基本色、そして黒の鋭くも逞しい線描である。カラーフィールドの作家たちが色彩を形象の隷属から解き放ってから半世紀、山田が制作する抽象絵画は色彩そのものが物質性を帯び、色彩をキャンバスに重ねる行為そのものが絵画として成立することを証明している。偶発的にせよ、塗り重ねと塗り残しの妙によって生み出される山田の作品には、色の魔術的な魅力がある。2020年CAF賞(公益財団法人現代芸術振興財団主催)入選、代官山ヒルサイドテラスアネックスAでの個展などの他、ARTISTS’FAIRKYOTO(2020年、2021年)や東京現代(2023年)などのアートフェアでも脚光を浴びる。