LOUISE BOURGEOIS
ルイーズ・ブルジョワ
1911年パリ(FR)生まれ、2010年没(NY)。1935年にソルボンヌ大学で数学の学位を取得した後美術に転向し、エコール・ルーブル(1935~1936年)、アカデミー・ランソン(1936~1937年)、エコール・デ・ボザール(1936~1938年)、アカデミー・ジュリアン(1938年)、アカデミー・デ・ラ・グランデ・ショミエール(1937~1938年)などグランゼコールを含む各種の美術学校で学ぶ。その間、フォーヴの代表的な画家であるフェルナン・レジェなどに師事。1938年にアメリカ人の美術史家ロバート・ゴールドウォーターとの婚姻を機にニューヨークへ移住する。パリ時代のブルジョワは封建的家父長制精神が根強い家庭環境や社会に対し強い不満を抱いていた。女性であることによってままならないことに対し、学業や芸術の秀でた才能によって抗い続けた。フォービズムやキュビスム、シュルレアリズムなどの近・現代美術の境界線に当たる各種動向を同時代に学び、また、社会的には第二次世界大戦やフランス五月革命などの激動の時代を自らの強い意志を持って生き抜いた。抑圧に抗う闘争の精神をもって制作されるブルジョワ作品の多くはフェミニズム的性質を強く示しており、オキーフやアグネス・マーティンらいわゆるアート業界におけるプロト・フェミニストたちの精神を引き継ぎ、70年代〜80年代に運動としての一つの到達点を見せるフェミニズム・アートへの直接的な先導者として道を拓き続けた革命者であるとも言える。女性現代美術作家として、否、20世紀を代表する最高峰の彫刻家の一人としての地位は、今や不動のものである。国際的に主要な現代美術コレクションやインスティテュートには必ず収蔵されているといっても過言ではなく、作家の没後も展覧会が絶えず開催されその評価や研究は更新し続けられている。