TAKANAO KANEKO
カネコタカナオ
1977年埼玉県生まれ。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業。活動初期はモノクロームのドローイングを中心に発表している。その当時から、コミックやイラストレーションのステレオタイプやミームを取り入れたややブラックで風刺の効いた作風は近作にも引き継がれている。モンスター、と作家は表現しているが、社会が情報で溢れている現代において人々がそれに飲まれてアンコントローラブルに陥ることを表現して警鐘を鳴らしている。しかし、誤解を恐れず言うならば、情報化社会のモンスターはカネコである。80年代〜現在のさまざまなキャラクターイメージを蓄積し、そのいずれでもない何か得体の知れない存在を飄々として生み出す。カネコの直近の作品は、コラージュとカッティングされたパネルがレイヤー構造になっている。情報の積層の上にカネコの描写がさらに重なる形である。カネコの作品は「〇〇らしさ」を感じさせる絵柄でありながら、その原典を明らかにするどころか煙に巻く。カネコはポップアートやそれに続くシミュレーショニズムやアプロプリエーションの作家たちが「オリジナル」の絶対性を揺るがしてきたのを継承しつつ発展させてもいる。正体不明の「〇〇らしさ」によって、「オリジナル」を偏在させてしまうのである。インターネット上の根も葉もない噂が、まるで真実の如く広く伝播していくのと同じように。