ROBERT LONGO
ロバート・ロンゴ

untitled (small Venus)
1953年ブルックリン(US)生まれ。1975年ニューヨーク州立大学バッファロー・ステート・カレッジを卒業。1981年より制作を開始した「Men in the Cities」シリーズで一躍脚光を浴び、80年代のニュー・ペインティング時代にあって、木炭によるドローイングという独自の路線でポジションを確立した。映画監督・映像作家としての側面でも顕著な実績を残しており、その映像表現に関する造形の深さは自身のドローイング作品等にも重要な関わりがある。映画によってさまざまな視覚体験を衝撃を持って感受してきたロンゴにとって、作品に描き出す身体表現やビジュアルイメージが意味するものは映画の演出に多大な影響を受けている。「Men in the Cities」の連作において人物が何らかの衝撃を受けて弾けるような激しい身振りを見せているのは、「ワイルド・バンチ」(1969年)や「アメリカン・ソルジャー」(1970年)などに見られる銃撃を受けた人物が劇的に倒れ込むシーンを咀嚼し直したもの。モデルに対して実際にものを投げつけるなどして咄嗟の反応を撮影し、それをトレスして描かれている。ロンゴの作品は実に写実的で、ハイパーリアリズムとの関連性を指摘するべき点も多いが、しかし、実際には映像表現から転化した絵画表現という点における先駆者としての評価がそれを上回るだろう。80年代以降アメリカ現代美術を代表する作家の一人として世界中の美術館、インスティテュートが所蔵し、ドクメンタ(1982, 1987)やヴェネチアビエンナーレ(1997)、ホイットニー・ビエンナーレ(1983, 2004)、カーネギー・インターナショナル(1985)など世界的に重要大規模展への招聘も多数。美術館等での大規模な個展も各国にて常々開催されている。