trace/wood #80
Year: 2022
Medium: oil on canvas, wood panel
Dimensions: 80.5 x 80.5 x 6 cm (31 5/8 x 31 5/8 x 2 3/8 in.)
Acquired from Mitsukoshi Contemporary Gallery, 2022
多田はヴァーチャル空間の物質の再現性(テクスチャ)と現実のギャップを取り沙汰している。ゲーム内のグラフィックがいかに本物のように見えても、それはあくまで虚像なのである。「trace」シリーズでは、様々なものを絵具を使って再現していくが、それはもはや描くという行為を逸脱しており、絵具という素材を使った彫刻的なアプローチといっても過言ではない。素地となるのはあくまで多田の卓越した画家としての描写技術に他ならないが、あまりに物体然とした作品を前にしてそれを絵画と称するには少々の戸惑いを感じることだろう。本作も、一見すると薄汚れた木の床材が壁に打ち付けられているようにしか見えない。ゲーム内で仮想的に作られたものの違和感を、そのまま現実空間に持って出てきてしまったかのような、壁に掛けられた床を前にして「非実在の存在」とでも言うべきレトリックについて考えるのである。
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