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Untitled (Artist)
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Year: 2019
Medium: spray paint, acrylic on canvas
Dimensions: 100 x 100 cm (39 3/8 x 39 3/8 in.)
Acquired from PHILLIPS, 2022
プランズの人気を不動のものとしている重要な要素として、作家が自身の代弁者として画中に登場させる「Animal Heroes」がある。小さな英雄である彼らは、カラフルなマスクを被り、マントを羽織り、スプレーやチョークを手にそこら中の床や壁に落書きをして回る。無邪気で可愛らしい様子だけではなく、どこか不穏さもつきまとう。プランズの絵は、そのポップで軽やかな内容でありながら、描画手法としてはとてもドラマチックな技法を採用している。中でも明暗の劇的なコントラスト表現は古典技法のキアロスクーロ(ルネサンス〜バロック期に発展した明暗法)を参照しているように思われる。本作において、影という点から見ると「Animal Heroes」の楽しげな様子とは裏腹に、壁面に伸びた大きな影はその影の主とは異なった少し恐ろしげな姿として描かれている。また、一つの空間にいながらにして、五人と二匹は視線を交わらせることがない。副題に「Artist」とあるように、画中にも「Artist」と大きく記されている。時にバスキアやトゥオンブリーらと比較して論じられることすらあるプランズの、アーティストとしての孤独と成功のコントラストが内面化されている。