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TBD
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Year: 2024
Medium: acrylic on canvas
Dimensions: 137.2 x 121.9 cm (54 x 48 in.)
Acquired from Pace Gallery, 2024
黒く塗り込められた画面に、白く細い線が引かれている。作品上方に示された線の頂点二箇所から下方へ向かって鋭い楔のような図形が伸びている。一方は白く、他方は黄色い。それら楔の示す先あたりに目を凝らせば、うねるように塗り込められた黒地に対してやや質感を変えてフラットに塗られた黒い三角形が光の反射で浮かんで見えてくる。同じように画面左に伸びる三本の線端を取り持つ小さな三角も見えるだろう。これら全ての要素は互いに完全に繋がっている訳ではなく、わずかに分断されている。しかし全体を一つのまとまった図として見れば、二つの奥行きをもったW形の立体的な空間がやや傾いた状態で見えてくる。白と黄色の楔はその傾きによって閉じられた角が歪み、遮蔽されていたはずの光が奥から漏れ出てきたのではないか、と想像させる。ダイソンは抑圧や差別が都市や建築の造形に機能的に表象されてきた歴史を批判している。一本の白線の端にまで視線を下すと真っ黒な背景にぽつりと灯る僅かな光明のような白点がある。例えば、それを光源とした何かの影のように広がる三角地は何の投影だろうか、と思考を巡らせてみる。キャンバスの中で線を追うようにして視線と思考を周回させる間私たちはこの暗い空間の中に閉じ込められ、どうにかしてその抑圧された苦しみから解放されようと抗い続けることになる。