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Gray; Noumena #6
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Year: 2021
Medium: UV print, acrylic on canvas
Dimensions: 117 x 80.5 cm (46 x 31 3/4 in.)
Acquired from EUKARYOTE, 2022
「Noumena」とは哲学用語のNoumenon(物自体)の複数形であるので、Phenomena / Phenomenon(現象)と対を成す語である。つまり、カントら形而上学の定めるところでは、形や知覚の対象となって人の前に現れる万物の「現象」以外のものであるから、畢竟、人間の知覚が及ばぬ物体の根源のことであり、言うなれば神の領域にある物本来の姿を指す。香月の関心事は色彩である。本作はグレーを基調とするからと言って色彩でないことはない。絵画面を埋め尽くすように羅列されているRGB(赤・緑・青)輝度数が示している通り、パソコンなどのディスプレイにおいてはグレーも色彩の重なりによって生み出される。加法混色である光が重なり合って理論上は明るさを増しながら、電気的なコントロールで明度を減じることでグレーへと沈潜していく、それを、絵画つまり絵具という減法混色のCMY(シアン・マゼンタ・イエロー)が混ざり合ったグレーへとコンバートしていくのである。色彩の「Noumena」を問うている。