Year: 2016-2020
Medium: acrylic on canvas
Dimensions: 150 x 100 cm (59 x 39 3/8 in.)
Acquired from MAHO KUBOTA GALLERY, 2023
加賀の代名詞的モチーフとなっているウサギのUsacchi(うさっち)。彼は可愛らしいのだが、いつもどこか影のある表情をしている。鏡に向かって独言を繰り返したり、相棒らしき負傷したクマとはいつも気怠い様子で過ごしている。本作では、きらきらした虹色の装飾が輝く夜のように深い青色の背景の中、カラフルな丸い物体を胸に抱えて佇んでいる。画面にはラメが塗り込まれており、光を受けて小さな反射を繰り返している。近くで見れば、塗りつぶされた下絵のとぐろを巻くような激しい筆触が画面の静寂を乱しているのが見えるだろう。「Past is always bright」(過去はいつも明るい)というタイトルは格言めいて聞こえるが、それが過去への悔悟なのか、現在への悲観なのか、未来への諦念なのか、薄ら笑いを浮かべたまま硬直したように見えるウサギの顔からは、その真に意味するところは窺い知ることができない。ウサギの抱える球体の中央には記号らしきものが描かれているが、輪になったリボンのシンボルであるようには見える。じっと強張ったままのウサギの姿は、そっとしておいてくれと言わんばかりである。