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基本的な構造物 #2 / Basic Structure #2
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Year: 2022
Medium: oil on canvas, mounted on wood panel
Dimensions: 30 x 37.2 cm
Acquired from ShugoArts, 2022
簡素な台座の上にクロスされた二本の棒、そこに固定された7色の卵状の物体。その後背には、植物を思わせる緑色の紙細工らしきものが一対立てられており、さらに奥にはデニムのシャツが灰色の壁にかかっている。絵画の中に表れているそれらの事物に懸命に目を向けてみても、決して日常目にすることのない異様な空間と無意味としか思えない物体が、淡々と恐ろしい解像度で立ち現れてくるばかりである。千葉は絵を始めるにあたって、まず自室でモチーフを手作りしそれを見た通りに描いている。他者に対して説明的であろうという親切さとは縁遠く、その状況を無感情に描き出すことに徹しているように見える。事実、本作を見る鑑賞者はそこに何かを感じようと努力したとて多くの場合は肩透かしを食らうことになるはずである。「基本的な構造」とあるが、見るからに自立するにはバランスを欠いたクロス状のオブジェは「基本的」とは感じさせぬ異様さを放っている。この異様さは、シュルレアリスムに似る。シュルレアリスムは理性を排して「現実」を認識し直すことでそこに内在する「超」現実に到達せんとする試みであったが、千葉はある意味ではそのオルタナティブな態度を現代において試みているのかもしれない。あるいは日常という観点から見直して、これが千葉の日常空間に出現したある種の記号であり象徴を鑑賞者に提示したものだとすると、非情緒的なアンティミスムという別のオルタナティブが表れているのかもしれない。いずれにしても汲み尽くせない絵画である。