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Metropolis
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Year: 2023
Medium: acrylic and Flashe(vinyl paint) on canvas over panel
Dimensions: 183 x 244 cm (72 x 96 in.)
Acquired from NANZUKA, 2022
チャプリンの絵画は自身のスケッチや建築写真などから取り込んだイメージからレンダリングした3DCGを元に描かれている。仮想空間内にさまざまなオブジェクトが複合されコラージュのように再構築されている。本作においても、建築物や道路のようなオブジェクトが絡み合うようにして都市を形作っている。それらは建築物や道路としての機能を十全に果たしているようには思えないが、無数のオブジェクトが中空を縦横無尽に装飾していく様子は、都市そのものが一つの彫刻であるかのように感じさせる。それぞれのオブジェクトは与えられた座標情報に応じて合理的な陰影を獲得しているが、そこに向かって照射されている光源が赤や青などのある程度の彩度を持った色が割り当てられているために激しいコントラストが発生し、絵画でありながらも立体的かつ物質的な性格が強調されている。チャプリンは平面図としてのスケッチから始まったものを3DCGの中で空間的な彫刻あるいはインスタレーションの作法で造形(レンダリング)し、その性質を保ったままもう一度絵画へと再帰させている。本作では、オスカー・ニーマイヤーの名建築「メトロポリタン・カテドラル」(ブラジリア)の特徴的なシルエットが目に留まる。確かにこの複雑な構造の都市はブラジリアと重なる。新首都ブラジリアは、ルイス・コスタが全体像を、ニーマイヤーが主要なシンボルを設計したが、両者はコルビュジェ的な理想都市の実現という思想の一貫性をもって都市を彫刻作品のように塑像した。建築家の都市を造形するというダイナミックな創造性と、3DCG技術によって発生する空間性を絵画のメディウムとして操るチャプリンの精神が共鳴する。