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p-240123-1
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Year: 2023
Medium: oil on panel
Dimensions: 21 x 15 cm (8 1/4 x 5 7/8 in.)
Acquired from Mizuma Art Gallery, 2023
小さな画面に、花弁を思わせる緩やかな形状とその調和を不意に乱すように置かれた強い色彩が入り混じる。ナイフで擦り付けたような荒さと、丁寧な筆致が異様な対比を生んで視覚的な不安定性がある。荻野はこれまでも具象と抽象を横断する、形象に囚われない絵画を制作してきた。本作においても同様に、何かしらの具体的モチーフを出発点としていながらもその具象性は解体されており全容を見せることはやはりないようだ。本作のように極めて小さな画面では視界を近視眼的にさせる。意識をこの小さな窓に近接させても、そこから先に視界は開けていかない。見尽くせない不安は、その裏に隠された全貌がどのような姿であるのかと、見る者の想像を掻き立てる。