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Mirror, mirror
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Year: 2002
Medium: color-effect filter glass, stainless steel, mirror
Dimensions: 46.4 x 46.4 x 5.7 cm (18 1/4 x 18 1/4 x 2 1/4 in.)
Edition: No.5 of 12 + 3 A.P.
Acquired from Sotheby’s, 2023
円形の鏡と、ガラスが重ねられている。作品に向かって左手はほぼその両者は接しており、逆に右手側は3cm程度の距離が開いている。鏡は通常のものだが、ガラスには透過する光を黄色と青に分光するフィルター処理が施されているようだ。エリアソンはかず多くのガラスや鏡を使った光学的現象を作品として提示してきた。本作は鏡とガラスによる透過と反射の作用を組み合わせたものだ。作品を壁面にかけた状態で作品に正対すると必然的にガラス面は鑑賞者の視線をややズレた角度で受け止める形となる。逆に言えば、ガラスの表面で反射されて鑑賞者の目に届く景色は、実際の鑑賞者の視界には入らないはずのやや右手後背側の景色である。そこに、ガラスを透過して鏡が真っ直ぐに跳ね返す自らの姿を重ねて視認することになる。目の前にある作品が映し出している自分自身の姿は、果たして経験的に現実であると信じ続けてきたものと真に同じだと言えるだろうか?
カラー・エフェクト・フィルターを加工されたガラスによって遮られていることによって、その裏にある鏡には現実から引き剥がされたごく一部の波長のみしか届かない。さらにはガラスの角度によって空間的な位相すらも変じてしまう。確たるものと信じてやまない自らの身体的同一性や、世界の安定性はいとも容易に崩されてしまうものなのだ。