neg◊bal_01
Year: 2014
Medium: chromogenic print, framed
Dimensions: frame size: 71 x 61 cm (28 x 24 in.) / image size: 22 x 29 cm (8 5/8 x 11 3/8 in.)
Edition: of 1 of 8
Acquired from Gallery Koyanagi, 2022
ルフ自身が収集していた古い鶏卵紙写真を元にして制作された「negatives」シリーズの一枚。バリ島の舞踊の舞手だと思われる人物が写っている。鶏卵紙とは卵白を塗布した紙を印画紙として使用する。現代でも主流であるゼラチンシルバー印画紙の登場までは写真の現像と言えば鶏卵紙を用いることが多かった。鶏卵紙写真では、金調色といういわゆるセピアカラーに仕上げる処理がなされ、独特の柔らかい明暗の表情が美しいのが特徴でもある。それをデジタル技術によって反転させ、あえてネガフィルム調の画像に仕立て、さらに青焼写真のような青い諧調を用いている。写真を撮らない写真家であるルフは、本作においてもカメラを構えることはない。現在では、あえて選択しなければほとんどの場合はスマート・フォンなどのデジタル写真が最も身近な写真になるため、こうしたフィルムの仕組みに馴染みのない世代も多いはずである。デジタルが普及する以前は、日常的なスナップ撮影など、ごく一般的な用途のフィルム写真では色調整がしやすいネガ・フィルムを用いられていたため、写真とは図像の色彩が反転する現象であることは広く知られていた。ルフは、デジタル写真全盛の現代において、鶏卵紙、ネガフィルム、青焼き、といったかつての写真技術の歴史そのものを作品としているのである。本作をスマート・フォンなどのデバイスを介してネガティブ画像として視認すると、本来の鶏卵紙上の画像がまざまざと蘇る。
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