Year: 2018
Medium: ceramic, wood, lead, stone, thread, paper, acrylic board, cup, tape, pencil, wooden box, wooden board
Dimensions: 12 x 32.7 x 45.6 cm (4 3/4 x 12 7/8 x 18 in.), excluding pedestal
Acquired from Mitsukoshi Contemporary Gallery, 2022
使い古された木製の箱と板を重ねたものを台座として、その上には鉛でできた柔らかな造形物やセラミックの小さなオブジェ、紐、メモ帳、ガラスコップなどがお互いに連続していくように配されている。「ボードゲーム」と副題にある通り、何らかのルールや偶然性に則って配置を決めているようなゲーム性を感じさせる。本作はその観点から言えば、完成された展示物が何を示すかという目線で鑑賞するよりも、それを展示していく手順(プロセス)にいかなる論理的な思考があるのかを見出すことにその面白さがあると見るべきだろう。二枚板構造になっている天板の隙間に置かれた小さな丸いセラミックの位置は、何らかの液体のシミの残るメモ紙の束の対角線上にあり、さらにそのメモ紙の位置を決めるのはその左肩に置かれている小さなセラミック片である。紙に広がったシミの上には、あたかもそのシミを作り出した原因であるかのようにジャガイモのような歪んだ球体が乗せられている。鉛でできた器具のような造形物に鉛筆やプラスチック片がピッタリと固定され、それを程よく押さえるようにしてガラスコップが置かれ、その中にはカラフルな斑点を持つ球体がコロンと入れられている。そして、最もこの作品を印象付けているのは紐の存在である。長い紐がチューブ上になった鉛の棒を貫いて、ところどころ小石を起点に蛇行している。小石やセラミックの互いの位置的な関係性を可視化しているようにも見える。何かを起点とすることで次の一手に至るプロセスが自ずと予測されていくのである。本作について「明日を思い出す」と序するのは、いかにも示唆的であるように思われる。