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21. Feb. 01
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Year: 2001
Medium: oil on color photograph
Dimensions: 14.6 x 10.2 cm (4 × 6 in.)
Acquired from PHILLIPS, 2022
室内の床に新聞紙が広げられている様子が塗り残した部分から覗いている。「Overpainted Photographs」のシリーズの一点。このシリーズは、リヒターの抽象という概念が如何なるものかをよく伝えるものとされる。抽象、つまり、何らかの概念を対象から抽出し、一般化することを意味する。俗に、抽象絵画と呼ばれる一群の絵画は何も表さないものと誤解されることが多いが、本来的には特定の造形を模していないというだけで、有形無形の何かしらの概念(コンセプト)が存在する。本作は、写真、しかも特定の何かが明瞭に写っているものに対して、無作為とも思える絵具の塗り付けが重なっているが、リヒターが具象的な世界に対して抽象性によっていかに介入し、結果として何を獲得しようとしているのか、その基本的な姿勢をダイレクトに伝えているように思われる。