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Eroded Carrera RS
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Year: 2021
Medium: resin, plaster, aluminium oxide
Dimensions: 10 × 30.1 × 12.4 cm (3 7/8 x 11 7/8 x 4 7/8 in.)
Edition: #406 of 500
Acquired from Perrotin, 2022
「Eroded」シリーズのポルシェ。本作は1973年製造の「ポルシェ911カレラRS2.7」を模ったエディション作品である。40年を経た今も名車として人気が高い車であるが、アーシャムの手にかかるとその不朽の名作も悠久の時を経て朽ち果ててしまう。「Eroded」シリーズはその名の通り腐食をテーマにした彫刻作品であるが、その崩れた部分にはクリスタル状の鉱床が生まれているのが特徴である。単に朽ちるのではなく、状態が置換する。あえて腐食という強い表現を用いているために崩壊のイメージが先行するが、むしろ本質的には無に帰すことのない存在の永続性を物質の置換という現象によって表現しているように思われる。アーシャムの過去の歴史に対する真摯な敬意は、同シリーズに通底している。「Fictional Archeology(フィクションとしての考古学)」とアーシャムが掲げている通り、たとえ色が喪失するほどの時を経て姿形が崩れ去っても、なおそこに残る魂のような根源的存在の価値についてを思考するのである。