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untitled
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Year: 2008
Medium: acrylic on wood, iron
Dimensions: 230 x 64 x 55 cm (90 x 1/2 x 25 1/4 x 21 5/8 in.)
Acquired from Tomio Koyama Gallery, 2022
非常にユニークな造形をした彫刻作品である。球状の先端部が取り付けられ、肌色に塗られた4本の鉄の角柱を足として自立する構造になっている。先端部には、その4本の支柱によって瓢箪様の木彫が立っている。2000年代、山本の作品はキノコや植物類を思わせる有機的なフォルムを絵画や彫刻に取り込んでいった。本作における有機的な造形は当時の山本の関心事を強く示している。最下部の膨らみは、表層の裂け目から泡立つようにたくさんの球体が覗いている。よく見ると、瓢箪様の先端近くには顔が彫られており、それを認識した後では本作は俄かに人間味を帯びてくる。4本ある足の代わりに腕らしきものは見られず、無表情にこちらを見据えている顔からも特に感情的なものは読み取れない。しかし、アンバランスに細長く、頭上から見下ろしてくるような造形のせいだろうか、どことなく不安を誘う。作品が空間に配された時、それを正面にしていない場合であっても視界の端に妙な気配を纏って強い存在感をこちらに向けて放ってくるような気がしてならない。彫刻作品とはそれが空間に厳として存在することを主張するものではあるが、本作はより生々しく今にも動き出しそうな予感を伴っている。当コレクションに所蔵されている「転写反転渦巻姫」(2014年)とは、絵画と彫刻で表現形態も異なり、両者の制作年代にも開きがあるが、図像的な関連性が強く見られることは興味深い。