If it is there. #1
Year: 2022
Medium: bismuth, wood frame, prism, led light
Dimensions: 94.5 x 68 x 10 cm (37 1/4 x 26 3/4 x 3 7/8 in.)
Acquired from Ginza Tsutaya Books, 2022
赤青緑の三原色によるライトが作品の四方に配されている。プリズムの効果によって、フレームの中に収められているレリーフ像は二重三重に重なって見えるため実像が極めて掴みにくい。光沢の強い金属質の表面に覆われたそれは、ヴェールと法衣を纏ったマリア像であるように見える。山田の作品では、すでに特定の意義を強く示す偶像的な表象を意図的に削除したり隠したりすることで価値観を宙に浮かせてしまう。本作においても、聖母マリアという特定の宗教的意味を強固に持っている像に対して、その属性を示す色彩やポーズを金属の光沢と三原色の光によって覆い隠していると言えるだろう。また、プリズムによって浮かび上がる聖母マリアの図像としての多重性は、信仰対象としてプロテスタントとカソリック間での価値観の違いについて、偶像を禁じていながらも偶像に示された象徴を通して神性に触れることは許されるという教義解釈について、その神性を彫刻や絵画によって表象することの意味に対する分析的態度など、図像と社会・宗教の間に幾重にも発生する問題系を暗に示しているように感じられる。
© UESHIMA MUSEUM COLLECTION
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