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Untitled
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Year: 2008-2009
Medium: oil on canvas
Dimensions: 227.3 x 162 cm (89 1/2 x 63 3/4 in.), combined 2 panels
Acquired from Tomio Koyama Gallery, 2022
00年代の山本の絵画は次第に画面の絵具に厚みが増して、幾何学的な構成と有機的なモチーフが濃密に絡み合うような特徴が見られる。本作では、濃い紫色や暗褐色を基調とした夜の森を思わせる重厚な画面が印象的である。画面の奥から回転する閃光が差し込む様な描写が見られるが、その中心から放射状に伸びる色とりどりの直線が風景を大きく区分けており、地続きの風景でありながらもその区分けられたそれぞれのエリア内は少しずつ色調が異なっている。画面右側には、さまざまな有機体の集合のような何かが聳えている。山本のモチーフとしてよく登場するキノコや精霊のようにも見えるが、個別の名指しできる何かではなく超越者的な存在であるように感じられる。山本のこうした絵画は一体どの様に分類されるべきだろうか。単純に具象や抽象といった大まかな区分には該当せず、相応しい分類をことごとく拒む独善的な強度を有している。本作は2014年に国立国際美術館(大阪)において開催された「ノスタルジー&ファンタジー 現代美術の想像力とその源泉」において、当コレクション所蔵の「転写反転渦巻姫」と並んで展示された。この常人ならざるイマジネーションの成果物に対して、仮に「ノスタルジー&ファンタジー」という言葉を当てるとすれば、奇想あるいは狂気とでも意訳するべきだろうか。