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転写反転渦巻姫
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Year: 2014
Medium: oil, conte on canvas
Dimensions: 227.5 x 324 cm (89 1/2 x 127 1/2 in.)
Acquired from Tomio Koyama Gallery, 2022
F150号のキャンバスを2枚組みあわせた大作。作品のセンター、つまり2枚のキャンバスの繋ぎ目を軸にして大まかな線対称を成す構図になっている。画面の大半は抽象的な構成で描かれており、絵画の中心よりもやや上に位置した暗褐色の円形から外に向かって放射状に伸びていく線形、蛇目紋のような円形の描写が色とりどりに散開している。しかし、継ぎ目に沿って細長い有機的なフォルムが伸びており、それを目で追っていくと装飾的な描写の中に顔が認められる。すると、絵画全体が大きく羽を展開した蝶のような造形をした人物らしきものを描いていることがわかる。本作は、そのタイトルにもあるように、対称軸の左右で鏡のように「反転」し、お互いを「転写」し合うような関係にある。二次元的には線対称の軸に重なるように描かれた「姫」を、ひとたび三次元的に再認識したとき、対称軸は「姫」を中心とした回転軸に捉え直すことができる。恒星を中心に形成される銀河のように、「姫」自身を取り巻く世界をその渦中に巻き取っていく光景にも見えてくる。本作は2014年に国立国際美術館(大阪)において開催された「ノスタルジー&ファンタジー 現代美術の想像力とその源泉」において、当時の山本の仕事を代表的に示す作品として紹介されている。