Year: 2018
Medium: digital chromogenic prints, framed
Dimensions: set of 3, 133.4 x 121.3 x 5.1 cm (52 1/2 x 47 3/4 x 2 in.) overall
Acquired from Perrotin, 2022
ヒューイットの「Riffs on Real Time」という作品シリーズがある。プライベートなスナップ写真を、雑誌や教科書などの上に置いて、さらにそれを床の上で撮影する写真作品である。一枚の作品の中に示された三層のイメージの重なりがある。私的な生活の記憶、人権運動や人種問題といった公の歴史・記録、写真というメディアが残した公と私の歴史の意味的対比を客観的な目線で捉えながら、歴史には現れてこない人々の感情や日々の営みを象徴する床の上にそれらを置いてみせた。それを発展させた形で「Riffs on Real Time with Ground」というシリーズが作られており、それらは単純な色彩や色面構成を写したシンプルな写真を伴って展示された。本作は、本来その「with Ground」に相当するであろう色彩の部分を組み合わせた更なるバリエーションである。ローズピンク、グリーン、そして、青色のフィールドに黒の斜線とピンクの水平線が入ったものの三面の写真で構成されている。これらの色面は「Riffs on Real Time with Ground」シリーズ内で繰り返し用いられ、特に青色のフィールドは「Mirror Blue with Black Diagonal and Horizon Daybreak」と名付けられている。ミニマルな作風が多いヒューイットであるが、写真を主な表現手法とする作家であるためか光の表象がたびたび特異的に扱われて比喩的に示される。「Daybreak」という夜明けの色合いを含む本作は、そこに含意される意味を「Riffs on Real Time」シリーズの中に遡って想像させる導き手となっている。