Year: 2022
Medium: acrylic, spray paint on UV printed and burnt aluminum panel
Dimensions: 244 x 122 cm (96 x 48 in.)
Acquired from +81 Gallery, 2022
山口のこれまでの作品は激しいストロークそれそのものが独立して空間に抽出されたかのようなものであった。それはフランク・ステラがシェイプド・キャンバスによって、あるいはロバート・ラウシェンバーグがフラット・ベッドと評されたように、四角いキャンバスや垂直性という予め与えられた絵画の制限的前提条件からの解放路線を引き継いだものである。本作では一転して明確に長方形のアルミニウムの板という、いわば「絵画のフレーム」に回帰している。「OUT OF BOUNDS」シリーズなどが支持体(厳密には支持体は存在しているが)を仮に喪失した絵画だとするならば、本作「SHADEZ OF BLUE」シリーズは支持体やフレームの概念を逸脱し続けてきた山口が、全く逆方向の支持体やフレームの概念をこそ必要条件とする「オールオーヴァーネス」の表現に挑んだのだと言える。中心や部分というものの本質的差異はその「画面上において」存在しない。アルミの硬質な表面に施されたUVプリントが下地となり、そこに恐ろしく立体的な絵具の描写が重ねられている。更には、バーナーで画面を焼いたのだろう、支持体であるアルミは熱で激しく波うち歪んでいる。シルバーなどの金属的な光沢をもつ絵具が要所に重ねられていることで、この歪んだ画面は一層揺らぎを増して常に蠢くような運動性を呈している。