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S-01
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Year: 2022
Medium: acrylic on canvas
Dimensions: 72.7 x 72.7cm (28 5/8 x 28 5/8 in.)
Acquired from Isetan, 2022
永井作品で最も描かれることの多いモチーフである椰子の木が、真夏のプールサイドに揺れている。永井がイラストレーターとしてデビューする以前の1973年、師と仰ぐ湯村輝彦ら親交のあったイラスト業界の知人たちと40日間のアメリカ旅行に行き、作品の原風景を目に焼き付けた。翌年には再び湯村とグアムを訪れる。その際に大きな椰子の木に心を奪われて以来、絵画の主題として描き続けてきた。本作では、真っ青な空の下、海辺のリゾートらしいプールサイドに白いパラソル、テーブル、椅子、赤と白の花、プールの水がわずかに風に揺れているように見える。南国の真昼だろうか、パラソルの下にほぼ垂直に落ちる濃い影以外に大きな日陰らしきものはない。その代わり、その強い日差しを受けてあらゆるものの輪郭が強く、葉の一つ一つが茂みの奥に深い影を作っている。目を引く伸びやかな椰子の幹も青空の鮮やかな背景にくっきりと黒い輪郭を浮かび上がらせている。これは、黒い絵具によって下絵を描いた上で明るい部分の色彩を加えていくという描画法による。細部に亘って極めて強いコントラストと、澄んだ明るい青の表現が永井らしい。