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BLACK VIEW_4
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Year: 2022
Medium: acrylic on canvas
Dimensions: 91 x 91 cm (35 7/8 x 35 7/8 in.)
Acquired from IDÉE GALLERY, 2022
黒は特別な色であるという高山による、まさに漆黒から湧き出るような作品である。高山は注射器や彫刻刀を使って描画する。堆朱という漆芸で用いられる技術があるが、本作はそれと同様に、キャンバス上に幾層にも重ねた絵具を彫刻刀で抉り取って内側の層を露わにしている。黒い表面の内側に隠されていた水色や白などの明るい色彩が瑪瑙のような複雑な曲線を作り出し、それによって画面より外側へではなく内側へ向かって空間を広げていくように見える。これほどまでに絵具を重ねれば当然のことながら重く、そして分厚い層がキャンバス上に形成されることになる。本作で言えばおそらく5mm~10mmほどは厚塗りされているだろう。しかも、まるで均一には塗られておらず、荒れた荒野のようにゴツゴツした起伏が激しい。その内側にかくも明るい色彩を隠していることは、無骨な火成岩の内側に形成される煌びやかで端正な晶洞を連想させる。