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線を見る / Looking at the line
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Year: 2022
Medium: oil on canvas
Dimensions: 53 x 63 cm (20 7/8 x 24 3/4 in.)
Acquired from Seibu Shibuya Art Gallery, 2022
本作は「線を見る」と題された作品シリーズの一作となる。三瓶はこの水平線か地平線か判然としない横一筋の線の描写を繰り返し制作している。線より上半分は青みがかり、下半分は土色をしていることから、本作ではどことなく地上の風景であろうと判じることができるだろうか。非常に伸びやかなストロークが画面全体を水平に揺らすように描かれている。そのゆったりとした全体性の中で、唐突に絵具の密度を増しているのが水平の線である。これが仮に地平線だとすれば、三瓶の描く世界では空と地上の風景は地平線へ向かって双方から収束し、寄せ集まっていくのである。一貫して、絵画によって光を捉えようとしてきた三瓶。空間と共に光を一筋に圧縮したこの線は明るく、そして物質的な強さを持って画面に表されている。今一度「線を見る」というタイトルに立ち返って画面に目を向けて欲しい。この線を単に風景の遠景として見ることはもうできなくなっているに違いない。見るという行為はそれを間近に手繰り寄せる行為でもある。