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Meltism C #24
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Year: 2022
Medium: resin, urethane, styrofoam
Dimensions: 32.5 x 20.5 cm (12 3/4 x 8 1/8 in.)
Acquired from Acquired from Isetan Shinjuku, 2022
発泡スチロールの可塑性を最大限に生かした、熱線による彫刻作品。赤い色彩が溶け出して、そのまま時を止めてしまったかのような流線的なフォルムが印象的である。彫刻における抽象性があるとすれば、それはおそらく造形が具象性を帯びていないという相対的な視点から判ずるのではなく、そこに表れている表現が素材「らしさ」からいかに乖離しているか、ということに行き着くのではないだろうか。例えば、石像が石らしさをとどめている限り、そこにあるオブジェクトは石というものから逃れることができずにいるとも言える。藤崎の「Meltism」シリーズは、その点において、発泡スチロールの特性を生かしていながらも、その造形から発泡スチロールらしい片鱗を読み取ることはまずできない。なぜなら、丁寧に塗装されて、もはやこれが木製なのか、陶器なのか、石なのかすら目で判じることはできないからである。事実この作品を手にしてみた時の意外な軽さに驚かされるような、この素材の秘匿性があるからこそ本作は藤崎の表現しようと企図したものを何ら阻害されることなく真に抽象することができるのである。