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Untitled
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Year: 2017
Medium: acrylic on plexiglass, metal frame
Dimensions: 259 x 170 cm (102 x 67 in.)
Acquired from PARCEL, 2022
透明の支持体に、赤と白の鮮烈なコントラストで描かれた本作は、NIKEとのコラボレーションにより「Dunk Lux Chukka / RT」を履きながら制作する様子を収めた動画がネット上でも公開された。小畑のペインティングは、踊るような全身の動きが絵筆や指先に伝導するようにして描かれ、モチーフはダンサーのポージングを想像させるが、本作においてはバスケットボールのプレー中の所作にイマジネーションを得ている。絵画には筆致などに代表されるように、身体の運動を画面上の表現へ転化させる技術が多くある。絵画の技術精度とは狭義を突き詰めればアーティストの運動性に依存する。小畑がダンスの運動性を絵画に取り入れるのは、おそらくは書道や武道に近い「フォーム(形式)」が存在するからだろう。決まった基礎的なポージングや所作という「フォーム」があり、その上で独自性や即興性によって生まれるのがダンサーのクリエイティビティだと言える。一見無軌道な動作に見えても技術と修練によってのみ獲得されるダンスの「フォーム」を、平面上に可視化している。NIKEの動画に見られる、リズミカルに床に鳴らしながら、体全体で描いていく小畑の運動性を、本作を前に想像して欲しい。