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invisible layer creature
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Year: 2021
Medium: paint on ABS resin
Dimensions: 66.6 cm (26 1/4 in.) in diameter
Acquired from MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERY, 2022
鏡をテーマに作品を制作している井村。本作では鏡面そのものが作品である。とは言え姿見としての鏡ではなく、光を反射するには違いないものの、正対したところで自分の顔が映るわけでもない。古来、魔鏡と呼ばれる技術がある。金属鏡に研磨を施す際に鏡面を極端に薄く仕上げることなどによって、あらかじめ裏面に彫られた紋様が鏡面にも影響し目視できないほどの凹凸となる。鏡を直視しても何ら普通の鏡とは変わらないが、光を反射させることによって僅かな鏡面の歪みは紋様となって壁や床に映し出される。本作ではその魔鏡の技術に直感を得つつも、研磨ではなく塗装によって一見フラットな鏡面に微細な厚みの変化を加えることで制作されている。金属の酸化発色現象と同じように、触知できないほどの薄い塗膜によって干渉色を発生させており、天井から作品に当てられた光が反射し、床には虹色が円を描いている。