the mythical city (神話になった都市)
Year: 2022
Medium: photograph mounted on acrylic, steel
Dimensions: 126 x 133 x 45 cm (49 5/8 x 52 3/8 x 17 3/4 in.)
Acquired from MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALERY, 2022
作家が撮影した都市の風景が割れたガラスのようにいくつかのパーツに断片化し、風車状の立体的な造形物として空間に展開している。これまでの小林の作品では写真画像にピーキーなエフェクト加工を施して写真とは思えないような歪んだ空間を作り出していたが、それはあくまで平面上に留まっていた。本作において写真というものの平面性を逸脱し、一枚の画像であるということの連続性をも無視して、写真としての従来の在り方を根底から破壊している。写真はカメラのデジタル化とITの発展とによって、被写体をより良く演出するための手段として用いられるようになった。現実の世界は素材化されて、SNSやネット上で膨大に消費されている。加工は当たり前の技術になり、現実をまざまざと見せつけるジャーナリズムではなく、視覚的な愉悦を重視したイメージの生成が写真に求められる。「神話になった都市」というタイトルは、そうした偽・現実的な写真によって受容されている現代社会を指し「現実であるはずの都市」の反語として放ったのだとも受け取れる。いずれにしても、写真家・小林健太が可視化するのは、自らを含めた現代の人々の眼差しが映し出している物のまつろわぬ姿である。
© UESHIMA MUSEUM COLLECTION
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