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Orbit-AEFS(Strangler Fig)
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Year: 2022
Medium: aluminum panel
Dimensions: 38.9 x 51.4 cm (15 3/8 x 20 1/4 in.)
Edition: No. 7 of 10 + 5A.P
Acquired from Oil by Bijutsutecho, 2022
振付家ダミアン・ジャレによるコンテンポラリーダンス / パフォーマンス三部作「VESSEL」(2016年初演)、「Mist」(2022年オンライン映像配信)、「Planet [wanderer]」(2021年初演)の世界観を表現したもの。ジャレが名和が2013年のあいちトリエンナーレで発表した「Foam」に感銘を受けたことに端を発し、その後2015年にヴィラ九条山(京都)のレジデンスプログラムで名和とパートナーとなったことを機にこの一連の協働が始まった。3Dで作られた画像情報を元に、コンピュータ制御による切削加工によってアルミ板に図像を削り出している。
「VESSEL」においては終始各々のダンサーたちが頭部を隠した姿勢を取っている。顔を隠すという行為は、個の喪失を暗に示すだろう。個を持たない複数人は、寄り合い支え合って新たな一つの、あるいは原初的で根源的な存在へと変態していくのだ。「Mist」や「Planet [wanderer]」では、霧、粒子や粘性の液体などのマテリアルと身体とを癒合させるイメージを多用してそのテーマ性を強めていた。本作は、そこに何名の人物が折り重なっているのか一目では判然としないだろう。また、アルミ板の光沢とドリルミルによる細かな掘削線はランダムに反射を誘発し、「Mist」の霧あるいは「Planet [wanderer]」の光る粒子のように、図像を曖昧にする。このことは三部作の振り付けや演出に通底していたテーマやコンセプトと明らかに関連している。