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wall-ordered ellipsoid’
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Year: 2022
Medium: glass mirror, LED, framed
Dimensions: 34.2 × 66.2 × 14.8 cm (13 1/2 × 26 × 5 7/8 in.)
Acquired from Art Front Gallery, 2022
本作はボックス状のフレームに鏡とLEDライトが配されており、その内部には延々と空間が広がっていく。整然と並べられたLEDの人工的な光を合わせ鏡によって反復し、中央では光の楕円形が構成されている。作品に正体するとき、通常の鏡であれば当然のことながら自らの顔と相対することになるが、本作では外光を遮った環境においては鏡面の中に自らの姿を認めることが一切ない。人は自らの顔を自らの目で見ることはできず、それを解消するための手段として鏡というものは発達してきた。では、人を映さない鏡の存在意義とは何か。その問いについて考えることは、なぜ人は自らの姿を見たいと思うのか、という問いと表裏一体である。井村のこの問いを、見ることと見られることという相対的な現象についての原点に立ち返ることなのだと捉え直すこともできるだろう。美術における作品と作者と鑑賞者の視線の交錯、人間社会におけるルッキズムや自己同一性、そして、自己と他者の実存について、本作の中で無限に広がっていく光を見つめながらさまざまな思索へと促されていくことだろう。