MICHAEL KAGAN
マイケル・ケーガン
1980年ヴァージニア州(US)生まれ。George Washington Universityを経て、2005年にNew York Academy of Artにて修士号を取得後、同大学院フェローシップを務める。宇宙飛行、サーフィン、山頂など、人間が挑みうる「限界」を象徴的に描く。特に宇宙飛行士を題材とした作品が現時点でのケーガンの代表作シリーズと目されており、絵具を荒い点描のように置く独特の筆致と宇宙空間らしいハイコントラストな配色が特徴的な画面を作り出している。一方で山頂を描くシリーズではインパストを用いるケーガンのスタイルではなく、スクリーンプリントの技法を絵画に転用しており、実際には作品によって手法も幅広く使い分けられている。人が生きていくことすら厳しい自然や宇宙や海はその峻厳さゆえの崇高さを私たちに感じさせる。崇高とは畏怖を伴う感情であるので、それを超克していくということは人類の精神性の発展に寄与するからこそ偉業として讃えられるのだろう。ケーガンの作品の本質は、「限界」を主題としているというよりも、人類がその困難と恐怖に打ち勝って進み得るということ、そしてそれを実現することのできる個々の人間の強靭なる決意を讃えているのだと言える。National Air and Space Museum Archives(スミソニアン博物館群の一つ)へのコミッションワーク提供や、2019年に開催された美術館個展(Virginia Museum of Contemporary Art, USA)等によって、ますます国際的な注目が高まっている。