DAISUKE TAKAHASHI
高橋大輔
1980年埼玉県生まれ。2005年、東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業。2011年から2016年ごろにかけて「夜の絵画」、その後は「昼の絵画」と「眠る絵画」、「白昼夢」、「Toy」など新たな展開を見せ続けている。「夜の絵画」では孤独な夜間制作の中で自己に深く向き合い、その静かな熱があまりに圧倒的過ぎる絵具の塊となって表れていた。結婚や子供の誕生とともに生活が昼型になるにつれて高橋の目が外の世界に向き始めることで明るく薄塗りの絵画へと変化したのが「昼の絵画」、そこへ布団をかけるように表層へニスを重ねて作品と自己とを隔絶する試みが「眠る絵画」である。「白昼夢」では日本の元号を絵画として描くという文字としての表意と絵画としての表象を思考する作品となっている。一転して「Toy」では生活空間にある子供のおもちゃを題材として身近過ぎるものを絵画として対象化することの難しさに挑んでいるように見える。このように高橋はその時々において自己の置かれた状況や問題に対して思考することがそのまま制作の動機となる。結果として表れてくる作品が多様であることは、あまりにも人間的である作家の内面性を映し出しているだろう。主な展覧会歴として、「約束の凝集 vol.5 高橋大輔|RELAXIN’」(2021年、gallery αM)、「2020年のさざえ堂ー現代の螺旋と100枚の絵」(2020年、太田市美術館・図書館)、「NEW VISION SAITAMA 5 迫り出す身体」(2016年、埼玉県立近代美術館)、「ペインティングの現在 – 4人の平面作品から -」(2015年、川越市立美術館)、「絵画の在りか」(2014年、東京オペラシティアートギャラリー) などがある。