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残欠の絵画 #71
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Year: 2022
Medium: oil on canvas, wood panel
Dimensions: 18.5 x 14.3 cm (7 1/4 x 5 3/8 in.)
Acquired from Mitsukoshi Contemporary Gallery, 2022
多田は絵画制作以外にも植物栽培やゲームへの傾倒を公言している。いずれも集中力を要するものだ。没頭する中で、多田の創造性は開かれていくのだろう。写実絵画というカテゴリがあるが、写実というものは絵画的なイリュージョンを駆使して現実と見まごうばかりの表現を追求することだ。最近では写真と区別のつかないような技巧の高みを目指すものも多い。多田の作品は、それら「見え方」によるリアリティとは一線を画する写実のあり方を見せる。100年を経て暗く変色したニスや、ひび割れ、絵具の剥落から見える下地の木目までを、異様とも言える集中力をもってそのままを再現してしまう。写実と呼ぶよりも擬態に近い。もはや彫刻的ですらある。