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残欠の絵画 #67
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Year: 2022
Medium: oil on canvas, wood panel
Dimensions: 18.5 x 14.3 cm (7 1/4 x 5 3/8 in.)
Acquired from Mitsukoshi Contemporary Gallery, 2022
多田の「残欠の絵画」シリーズは現代的なモチーフを、経年によるダメージでボロボロになったかのように見せかけるものだ。よって、古典のスタイルを引用している。過去には静物画のような絵画空間に現代の漫画雑誌や書籍類を描いたものも発表している。スペインのボデゴン(台所画)やP.ブリューゲルに始まる花瓶画のスタイルを踏襲している。本作においては、ゲームの背景グラフィックをイメージしたというある種ティピカルな中世的風景が、18世紀ドイツ・ロマン主義あたりの観念性の強い絵画を彷彿とさせる神秘的な様相に仕上げられている。ゲーム内では時間は永遠に繰り返されるが、人間の時間は有限である。永続的にその姿を留めていくように思われる絵画もまた、やがて時を経れば朽ちていくのである。