-
Tactile #25
-
Year: 2022
Medium: FRP, wood
Dimensions: 42.5 cm (16 3/4 in.) in diameter
Acquired from MEET YOUR ART, 2022
これまで作家は主にニュートラルなグレーの、虚脱したようなポージングの人体像を制作していた。それらから比較すると、本作には具体的な形象を造形しようという意志よりも、抽象的な概念を表出することを目指しているように思われる。彫刻家である菅原の作品において、壁面に依存する作品というものがそもそも少ない。それがキャンバス的な四角ではなく、円形を取るのであれば尚更そこに意図があるだろう。菅原は現代の情報化社会と人間的感覚の軋轢を作品にしている作家である。煌めくような青色は金属や鉱物を思わせ、触れずともその重量を想像させる。しかし、実際にはFRPによる型取りであるため非常に軽い。宇宙空間に浮かぶ天体のように重さを内に宿しながらも軽やかに浮かび上がる。作家は粘土による原型をろくろ台に置いて制作しているのだろうから、回転する作品は上下を必要としない彫刻となるだろう。彫刻を、重さや量塊の呪縛から解放してみせていると言える。