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谷敷謙 / KEN YASHIKI
drop in
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Year: 2021
Medium: dye, paper clay, used clothes on styrofoam
Dimensions: 103 x 71 x 5 cm (40 1/2 x 28 x 2 in.)
Acquired from MEET YOUR ARTS, 2022
「木目込み」という、江戸時代から続く人形の造形手法がある。木質(桐粉と糊を混ぜる)の素材をベースに作られた素体に、人形の衣装の合わせ目に沿って切り込んだ筋に生地を挟み込んで固着する手法である。谷敷はその技術を、人形ではなく絵画的な平面の表現として引用している。本作は3名のスケーターが重なるように跳躍するシーンを捉えて、非常に動きがある。しかし、無表情で画一的なポージングからすると、何らかの様式化が試みられているように思われる。その造形性は、絵画というよりは木版画などの手付きに近しいものを感じる。対象物のテクスチャそのものを作品内へ持ち込むのはコラージュやアサンブラージュの範疇になるだろうが、布地の色彩や質感は色面としてパーツごとに割り当てられたものである。嵌め込まれた布地は本来の用途を逸脱することなく、細かなディテールへのこだわりも見られ、全体的な簡略化とはアンバランスなリアリティも部分的に併せ持っている。