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Motorcycle
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Year: 1993
Medium: mixed media
Dimensions: 117 x 139.5 x 63.5 cm (46 1/8 x 54 7/8 x 25 in.)
Acquired from SBI Art Auction, 2022
篠原にとって「ボクシング・ペインティング」と並んで代表的な作品シリーズとして知られる「オートバイ彫刻」。ダンボールやさまざまな廃品を集めて構築してオートバイの造形を作り出している。篠原は1969年にニューヨークへ渡ったものの、成功とは程遠い苦労と貧困の日々に喘ぎながら模索を続けた。ニューヨークの街中に捨てられていた廃材を拾い集めて実物大のオートバイを制作したのが1972年、それ以来継続的にこのシリーズに取り組んだ。篠原の作品は、美術の世界的中心地であるニューヨークにおいてアーティストとして生き残るために戦い続ける爆発的なエネルギーに満ち溢れている。本作も、単なるオートバイということはなく、それに乗る2人の人物は騒音とスピードに自らの感情を乗せて、その相貌はもはや暴力的ですらある。作品全体を覆う絵具などが混ざり合った液状のものは執拗なほどに重ね掛けられており、グロテスクに見える。他方、篠原の明るい性格を映すように、見方によってそのグロテスクさや暴力性はコミカルさにも転換する。廃材という一度はその内在するエネルギーを消費し尽くしたものを、強引に組み合わせて再び力強く蘇らせていく様子は、篠原の精神に内燃し続ける今なお止まないハングリーさが重なって見えてくる。