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Future Herbarium
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Year: 2020
Medium: Oil on Wood (Distemper on wood?)
Dimensions: 33.5 x 24 x 4.2 cm / 3 6/13 x 9 7/16 x 1 5/8 inches
Acquired from PERROTIN, 2022
「未来のハーバリウム(植物標本)」と題されたシリーズの1点。19世紀の植物画の技法で精緻に描かれた花々は美しいが、1本の茎から2つの花が結合双生児のように咲いており、現実には存在しないと思われるその「不自然な」光景にハッとする。ローラン・グラッソはダーウィンの進化論や『種の起源』をはじめ、自然界で起きる突然変異などの研究を重ね、この未来の世界において変異を遂げた花たちを描き出した。古典的な絵画様式と近未来的なモチーフとの組み合わせにより、異なる時空間を共存させ、私たちの歴史認識と現実、未来の想像をクロスオーバーさせるこの手法は、グラッソの特徴的な表現である。美しくも不自然に咲く花を通して、人類が自然界、ひいては人類自身に及ぼす影響を想起させる、近未来SF的な戦慄も忍ばせた、重層的な作品である。2020年、パリのオルセー美術館で開催された展覧会「世界の起源:19世紀の自然の発明」において、大空間で展示された映像作品《ARTIFICIALIS》の中で同様の花のモチーフが用いられ、同年、上海のギャルリー・ペロタンで開催された個展において、映像作品《Solar Wind》、彫刻作品とともに展示された。