Pink Sounds-1
Year: 2022
Medium: acrylic, pigment, glue(Nikawa), ink on paper, mounted on wood panel
Dimensions: 53 x 53 cm (20 7/8 x 20 7/8 in.)
Acquired from White Stone Gallery, 2022
画面を赤と黒の2面に大胆に分けて描かれている。アクリル絵具で描かれる赤、日本画の顔料で描かれた黒、その両者は中村の視覚と聴覚とに密接な関係がある。赤い画面には無数の文字が踊っている。おそらくそれらが文字あるいは記号であることは簡単に理解されるものの、意味のあるひとまとまりのセンテンスとして読むことは難しいだろう。鏡文字で書かれたそれらは、聴覚に障碍を持つ作家が実際に直面してきた「言葉」の音と文字が結びつかないという困難さを象徴している。中村が初めて人工内耳を装着して明瞭な「言葉」を知覚した瞬間、脳内にこの鮮やかな赤やピンクのイメージが浮かんだという。画面に目を戻してみると、赤が黒を侵食しているように見える。日本画を学び、アメリカへ留学を機にアクリル絵具などの画材を使うようになった作家自身のキャリア転向と、聴覚との新たな出会いを象徴的に表現している。
© UESHIMA MUSEUM COLLECTION
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