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Future Relic 02 (35mm Camera)
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Year: 2014
Medium: Plaster and crushed glass
Dimensions: 14.6 × 15.9 × 9.5 cm (5 3/4 × 6 1/4 × 3 3/4 in.)
Edition: #232 of 450
Acquired from PHILLIPS, 2022
「Future Relic(未来の遺物)」とは謎めいた言い回しだが、アーシャムは「Fictional Archeology(フィクションとしての考古学)」というテーマで作品を制作しており、本作品も2180年のNYのあるポイント(北緯40度44分14秒2、西経73度57分14秒8)で発掘された遺物である、というストーリーが付されている。本作の題材となっているキャノンの一眼レフカメラAE-1(1976年発売)は、世界で初めてマイクロコンピュータを内蔵したフィルム一眼レフカメラであり、自動露出機能(Automatic Exposure)を備えた特徴からAEと称される。1976年から2180年までの104年間の間に、何らかの理由によってこのカメラは石灰化し、内部に結晶を生じさせるに至るのだ。アーシャムの作品では鉱物置換された化石のように、オブジェクトの外形だけが保存され、その機能や内部構造は全く別のものに転じている。本作でAE-1は長い望遠レンズを装着した状態にあるが、その胴体を深く抉るような亀裂があり、その傷跡からは透明な結晶体で内部が埋め尽くされている様子が垣間見える。機械や建物のような堅固な物体であっても損壊したり変容することは考えられる。しかし、変質することを想像することは難しい。カメラとは現実を記録する装置である。アーシャムは、あえてその本質を歪めるように虚構を作り上げる。未来からの遺物という時間的遡行によって非現実を現像するのである。