ANDY DENZLER
アンディ・デンツラー
1965年チューリヒ(CH)生まれ。チューリヒにあるKunstgewerbeschuleおよび、the F+F Schule für Gestaltungにおいて応用美術を学んだのちアメリカへ移り、University of California, Los AngelesとArt Center College of Design(パサデナ)を経て、2006年にChelsea College of Art and Design(ロンドン)を修了。塗りたての絵画の表面を歪ませる絵画で広く知られ、彫刻や版画なども手がける。ドイツの巨匠リヒターの影響を語られることも多いが、リヒターが写真を理念的な下敷きとした絵画を制作しているのに対し、デンツラーはVHSテープの映像をポーズしたような、と形容される。人物像を主に描いており一度ははっきりと対象を描くものの、仕上がった後にパレットナイフで絵具を横滑りさせている。それによって描かれた図像が左右にブレて見える。ブレさせた部分とそのまま残された部分とが交互にストライプを成している。映像の視覚体験に慣れている現代の私たちの目には、このデンツラーのテクニックによって本来は静的なはずの絵画にモーションを感じる。人物像が劇場に立つ役者のようなドラマチックな陰影によって描かれていることもその効果を増幅している。時間の中で生きている人間が静的であり続けることなどはなく、運動のある瞬間を一時停止したかのように描き出すことで絵画に時間性を取り込んでいる。2015年の第6回北京国際美術ビエンナーレ、2016年のマラケシュビエンナーレ6など、国際展にも多く参加し、Kunsthalle Dresden(ドイツ)や光州市立美術館(韓国)などキャリアの早い段階から国際的な美術館等での個展を多数開催している。アメリカのホワイトハウス(ワシントンDC)、モスクワ近代美術館(ロシア)、Museum Würth(ドイツ)、光州市立美術館(韓国)など公立私立を問わず多くの著名コレクションに作品が収蔵されている。