SANEMASA NAMONAKI
名もなき実昌
1994年生まれ。2013年よりTwitterアカウント名義(名もなき実昌@Sanemasa5x)を使って活動を開始した。イメージが「幽霊」のように現実と非現実の間で浮遊する。アニメや漫画、ゲーム、ネット上のイラストなどのキャラクター的なイメージがそれこそ無尽蔵に生み出され続け、それに伴ってファン・アートとしての二次創作の領域も広がっていく。そうしたイメージはミーム(meme)として、つまり情報を遺伝子さながらに模倣を繰り返し、進化を獲得しながら生命体のように存続していく。「名もなき実昌」とはこの情報世界に存在する膨大なイメージの在り方あるいは総体を「幽霊」的であるとして、この「幽霊」的なるイメージを源泉とした新しい絵画を試みるのである。名もなき実昌とは、その名の通り「名もなき」ポスト・インターネットの新しい絵画を体現するプロジェクトであり、SNS的アノニマスによって作家像は依然として曖昧なまま活動が続けられている。90年代以降、デジタル・イミグラント世代やデジタル・ネイティブ世代の多くのアーティストたちによって、レイヤー化、ピクセル化、グリッチ、バグなど、そうしたデジタル上でこそ起こり得るイメージの歪みを参照した表現が取り入れられてきた。そういった動きの中において、メタバース、AR、VRなどのテクノロジーが人間の視覚体験をアップデートさせていくこととも連帯を見せながら新たな絵画が派生してきている。名もなき実昌は自らの存在を、非特定多数の「名もなき」ミーム(摸倣子)たちの一つであると嘯きつつ、新たな時代の絵画様式の派生を継承し更に進化させようとしている。