YUSHI SUGA
菅雄嗣

Parallel #1
1988年長崎県生まれ。2014年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、2015年から2016年の間シュトゥットガルト美術大学へ交換留学プログラムで在籍、帰国後2017年に東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了。菅の作品は絵画における図と地の関係、身体性、画材の物質性など、絵画というものの構造的な問題に対する作家自身の関心を強く示している。絵画は一般的にキャンバスなりパネルなりの平面の上で描かれるものである以上、その支持体を大きく逸脱するような空間性を持ち得ないものである。フォンタナはキャンバスを切り裂き、ラウシェンバーグはフラットベッドと呼ばれたが、絵画の構造的な問題とはそれ以上に次元を超越し難いことである。菅の作品において二面の類似する絵画が一度に並べられることがあるが、それらは必ず対比的な意味をもって描かれている。菅の身体性によって「描かれる」ということ、絵具という物質や筆やナイフという道具によってそこに絵が「作り出されている」ということ、同じ構図が繰り返されることで絵画の同一性とは何かを問う、あるいは絵画の中に図があり空白があるということで仮想される空間とは何かを問う、そういった絵画の存在理由を自らに問い質している。